トリマーの離職率が異常に高い本当の理由

「また辞めた。自分が弱いのかな」そう思ったことはありませんか?この記事では、現場を知る人間として トリマーの離職率が高い「本当の理由」を同じ境遇のトリマーさんに向けてお伝えします。


「しんどい」は、正しい感覚です

同期が辞めた。新人がまた来なくなった。先輩が突然、心を病んで現場を離れた。

この業界にいれば、珍しくない話です。でも、誰もそれを「おかしい」と言わない。

「この業界はそういうもの」 

「好きな仕事だから仕方ない」

 「3年続けばすごい方」

…本当に、それでいいんでしょうか。

トリマーの離職率は、他の職種と比べても際立って高いと言われています。 専門学校を卒業しても、5年以内に約半数が業界を離れるという声も現場では聞かれます。

これは「個人の問題」ではなく、業界が抱える構造的な問題です。


「好きだから耐えろ」は美談じゃない

動物が好きでこの仕事を選んだ。その気持ちは本物です。

でも、その「好き」が おかしな方向に使われていませんか?

✔︎ 休憩が取れない 

✔︎ 限界まで予約を詰め込まれる 

✔︎ 体調不良でも出勤が当たり前

 ✔︎ 営業時間外の練習が「普通」

 ✔︎ しんどくても「みんな頑張ってるから」と我慢

 ✔︎ 給料が上がらないのに、仕事量だけ増える

 ✔︎ 辞めたいと言い出せる空気じゃない

これは「好きだから頑張れる」ではなく

「好きだから声を上げづらい」状態です。

飲食や美容など、他の接客業でも労働環境の問題はあります。 でもトリマー業界には、さらに特有の事情があります。

それは、「命を預かっている」というプレッシャーです。

ミスが許されない緊張感。 万が一の事故への恐怖。 それを毎日抱えながら、休憩も取れず、給料も上がらない。

本来なら改善されるべき問題が “好き”という感情で正当化されている。

それがこの業界の、一番の問題です。


「また辞めたね」が普通って、おかしくないですか

毎年、同じように人が入って 同じように辞めていく。

「根性がない」 「最近の子は弱い」

そう言われることもあるかもしれません。

でも、考えてみてください。

毎年これだけ多くの人が辞めるなら

辞める側じゃなく、辞めさせる構造に問題があるはずです。

たとえば、こんな現実があります。

  • 新人が入っても、まともな教育体制がない
  • 技術を教えてもらえないまま、現場に出される
  • 質問しづらい空気があり、一人で抱え込む
  • 給与が低く、将来のイメージが持てない
  • 体を壊してから、初めて「無理だった」と気づく

これは「その人が弱かった」のではなく 続けられる環境が、そもそもなかったということです。

なのに原因は個人に押しつけられ “人が辞め続ける環境”が放置されている。

なぜ、ずっと変わらないのか。 理由は2つあります。


問題が変わらない、2つの理由

理由① 飼い主には見えない

飼い主が見ているのは

・綺麗な店舗 ・SNSの投稿 ・可愛い仕上がり写真

その裏にある

・過剰な予約 ・慢性的な人手不足 ・無理な労働環境 ・精神的なプレッシャー

は、外からまったく見えません。

問題のあるサロンも、表向きは「普通のサロン」に見えます。 だから飼い主は気づかない。 気づけないから、変わらない。


理由② トリマーは声を上げられない

「辞めたら悪く言われるかも」

「業界が狭いから、どこかで繋がっているかも」

「どこへ行っても同じかも」

業界が狭く、人間関係も濃い。 だから、声が出ないまま終わっていく。

特に新人のうちは 「自分がまだ未熟だから仕方ない」と思い込んでしまいやすい。

でも、それは違います。


つまり悪慣行は

「知らない飼い主」と「声を上げられないトリマー」

によって、生き残っているのです。


声を上げられないのは、弱いからじゃない

真面目な人ほど、自分を責めます。

「自分が弱いだけかも」 「耐えられない自分が悪い」 「もっと頑張れば変わるかも」

でも、毎年同じように疲弊して 同じように去っていく人がいる。

それは個人の弱さじゃなく、業界の構造の問題です。

そしてもう一つ、知っておいてほしいことがあります。

慢性的なストレスは、感覚を麻痺させます。

「最近、何も感じなくなってきた」 「仕事が楽しかった頃の気持ちを忘れた」 「辞めたいのか続けたいのか、わからなくなった」

そう感じているなら、それは限界のサインかもしれません。

「おかしい」と感じるうちは、まだ感覚が生きている証拠です。 どうか、その感覚を麻痺させないでください。


犬のためにもなっていない

疲弊したスタッフ。 余裕のない現場。 慢性的な人手不足。

この状態では、事故リスクも上がります。

実際、トリミング中の事故の多くは 「忙しすぎる現場」「経験不足のまま現場に出された」 という背景で起きています。

犬は空気を敏感に感じ取ります。 現場のストレスは、犬にも伝わります。

トリマーが安心して働ける環境は 犬の安全にも、直結しています。

「動物のために」と思うなら 自分の環境を守ることも、その一部です。


今日からできること

業界を変えるなんて大きな話、 今日の仕事で精一杯なのはわかっています。

だから、小さなことだけでいいです。


① 「おかしい」という感覚を、否定しないでください

その感覚は正しいです。 麻痺させないことが、最初の一歩です。


② 誰かに、一言だけ話してみてください

SNSでも、同期でも、匿名でも。 「しんどい」と言葉にするだけで 少し景色が変わります。


③ この記事を、誰かに届けてください

同じように感じている人が、必ずいます。

知る人が増えれば、業界は変わります。

一人ひとりの「これおかしいよね」が積み重なることで 業界が無視できない空気になっていきます。


まとめ

悪慣行は、知られないことで生き残ります。

「おかしい」という声が増えること。 実態を正しく知ってもらうこと。

それが、悪質な環境を市場から淘汰していく 一番の力になります。


トリマーという仕事は、本当に価値のある仕事です。

だからこそ 消耗する仕事のままで、終わらせてはいけない。

あなたが感じている違和感は、正しい。

その感覚を大切にしてください。 そしてできれば、誰かに伝えてください。

知る人が増えれば、業界は変わる。


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